昔見た屋上の花火

正確に覚えてないけど、中学生の頃に一度だけ隣の某市マイカルと呼ばれるショッピングモールの屋上で花火を見た。

 

その日は親に連れられ映画を観てから買い物をした。そこで親の知り合い?っぽい若い女の人も何故か一緒に行動を共にしていて、初めて会う人なので人見知りの激しい僕はほとんど会話をしなかった。

 

買い物も終わり、屋上から花火見えるらしいよ、との事で屋上の駐車場を目指して通路を歩いていた。

 

その際に当時の僕は思春期真っ只中だったので親と一緒に歩きたくなかった為、少し離れて歩いていた。

すると、女の人が僕に寄って来ると何を思ったのか腕を組み出した。

僕は抵抗もせず、されるがままに腕を組まされた。人見知りの為、一言も発せずにいると、

「緊張してるん?かわいい」

と女の人が言った。

僕はナニイッテンダコイツと心の中で返事をしたのを覚えている。

すると今度は身体を更に寄せて来て、胸を僕の腕に押し付けた。

親が前に歩いてるのにコイツは中学生相手に何してんだよ、と思った。正直悪くは無かった(本音)

屋上に着くと腕を組むのをやめ、花火を見る為に空を見上げた。

言うほど花火は見えなかった。それでも少し見える度に綺麗、おぉ、みたいな言葉が屋上を飛び交った。僕はあまり綺麗だとは思わなかった。

僕は花火より女の人が気になり、様子を伺っていた。花火を見上げ、綺麗、と言っていた。

なんだコイツもそうか、って思った。(厨二)

それでも空を見上げてしまうのは中学生という所詮子供だったからであろう。

空を見上げていたら、気付くと女の人が横に居た。名前も知らない女の人。何を言う訳でも無く、僕を見つめ、不敵に笑うその顔は、綺麗だと思ってしまった。

 

昔見た屋上の花火。〜完〜